暗槓(アンカン)とは
暗槓(アンカン) とは、麻雀において手牌にある同じ牌4枚だけでカンを宣言する行為のことです。他家の捨て牌を使わず、自分でツモった牌だけで完成させるため「暗い(見えない)槓」と呼ばれます。
暗槓は門前を維持できる唯一のカンで、リーチ後でも条件を満たせば実行可能です。ドラが増える、嶺上牌をツモれるなどのメリットがある一方、手牌が固定化されるデメリットもあり、実行には慎重な判断が必要です。
暗槓の詳細解説
暗槓の基本ルール
暗槓の成立条件:
1. 手牌に同じ牌が4枚ある
2. 自分のツモ番で宣言
3. 「カン」と発声
4. 4枚を卓上に晒す
5. 嶺上牌を1枚ツモる
カンの種類比較
| 種類 | 使用牌 | 門前 | リーチ後 |
|---|---|---|---|
| 暗槓 | 手牌の4枚 | 維持 | 条件付き可 |
| 明槓(大明槓) | 手牌3枚+他家捨て牌 | 崩れる | 不可 |
| 加槓(小明槓) | ポン済み+手牌1枚 | 崩れている | 不可 |
暗槓の晒し方
暗槓の牌の見せ方:
┌─┬─┬─┬─┐
│裏│表│表│裏│ ←標準的
└─┴─┴─┴─┘
または
┌─┬─┬─┬─┐
│表│裏│裏│表│ ←別パターン
└─┴─┴─┴─┘
※両端または内側2枚を裏向き
使用例
実際の場面での使い方
例1:基本的な使用
「暗カン!」(宣言)
「暗槓します」
「アンカンドラ乗った」
例2:戦略的な会話
「暗槓するか迷う」
「リーチ後の暗槓」
「暗槓で手が狭まった」
例3:状況説明
「暗槓できる形」
「暗槓からの嶺上開花」
「待ちが変わらない暗槓」
関連用語
- カン:同じ牌4枚を晒す行為
- 明槓(ミンカン):他家の牌を含むカン
- 加槓(カカン):ポンした牌に追加
- 嶺上牌(リンシャンハイ):カン後にツモる牌
- 槓ドラ(カンドラ):カン後の追加ドラ
よくある間違い・注意点
初心者が間違えやすいポイント
-
門前の誤解
- 暗槓は門前維持
- リーチも継続可能
- 門前清自摸和も可
-
リーチ後の制限
- 待ちが変わる暗槓は不可
- 形式が変わるのもNG
- 待ち不変なら可能
-
晒し方の間違い
- 全部表向きはNG
- 2枚は裏向き必須
- 配置は左右対称
-
タイミングの誤解
- 自分のツモ後のみ
- 他家の捨て牌では不可
- ツモ切り前に宣言
暗槓のメリット・デメリット
メリット
暗槓の利点:
1. 門前維持
- リーチ可能
- 門前役も使える
2. ドラ増加
- 槓ドラが乗る
- 槓裏ドラも期待
3. 嶺上牌ツモ
- 嶺上開花の可能性
- 追加の1枚
4. 符の増加
- 暗槓は16符
- 高得点化
デメリット
| デメリット | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 手牌固定 | 変更不可能 | 柔軟性喪失 |
| 守備力低下 | 使える牌減少 | オリにくい |
| 情報開示 | 4枚見せる | 読まれやすい |
| 槓ドラ供与 | 他家も恩恵 | リスク増大 |
リーチ後の暗槓
リーチ後暗槓の条件
リーチ後に暗槓できる条件:
1. 待ちが変わらない
- 面子構成不変
- 待ち牌同じ
2. 符だけ増える
- 得点は上がる
- でも形は同じ
例:リーチ後の暗槓可能
手牌:123m456p77s 111z(ポン)
ツモ:1z → 暗槓可能(待ち不変)
待ちが変わる例(不可)
| 手牌例 | ツモ | 暗槓 | 可否 |
|---|---|---|---|
| 1112345m | 1m | 1m暗槓 | 不可(待ち変化) |
| 3334567m | 3m | 3m暗槓 | 不可(形式変化) |
| 111222m33s | 1m | 1m暗槓 | 可能(待ち不変) |
暗槓の戦略
暗槓すべきタイミング
暗槓推奨の状況:
1. ドラを4枚持ち
- 16符+ドラ4
- 圧倒的高得点
2. 安全牌が欲しい
- 嶺上牌に期待
- 守備的理由
3. 符が必要
- 30符→40符以上
- 得点アップ
4. 嶺上開花狙い
- ロマン追求
- 一発逆転
暗槓を避けるべき時
| 状況 | 理由 | 判断 |
|---|---|---|
| 良形テンパイ | 和了優先 | 暗槓しない |
| 他家リーチ | 槓ドラ危険 | 慎重に |
| 親番 | 連荘優先 | 状況次第 |
| オーラス | 時間がない | 基本しない |
暗槓と符計算
暗槓の符
暗槓の符計算:
暗槓:16符(么九牌は32符)
明槓:8符(么九牌は16符)
例:白を暗槓
基本符:16符
么九牌:×2
合計:32符
符への影響例
| 元の符 | 暗槓後 | 得点変化 |
|---|---|---|
| 30符 | 40符以上 | 1段階UP |
| 40符 | 50符以上 | 大幅UP |
| 50符 | 70符以上 | 満貫近く |
暗槓のタイミング
宣言の手順
正しい暗槓の流れ:
1. 自分の番でツモる
2. 暗槓可能か確認
3. 「カン」と宣言
4. 4枚を晒す(2枚裏向き)
5. 嶺上牌をツモる
6. 1枚打牌する
注意すべきタイミング
| タイミング | 注意点 | 対処 |
|---|---|---|
| 配牌時 | まだ暗槓不可 | 第1ツモ後から |
| リーチ宣言時 | 同時は不可 | どちらか選択 |
| 海底前 | 嶺上牌なし | 暗槓できない |
暗槓と他の役
暗槓が関わる役
暗槓関連の役:
1. 嶺上開花(1翻)
- 暗槓後の嶺上牌で和了
2. 三槓子(2翻)
- 3回カン(暗槓含む)
3. 四槓子(役満)
- 4回カン(暗槓含む)
4. 四暗刻(役満)
- 暗槓も暗刻扱い
暗槓と役の相性
| 役 | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 三暗刻 | 良い | 暗刻として計算 |
| 対々和 | 良い | 刻子扱い |
| 平和 | 悪い | 刻子があるため |
| 一気通貫 | 悪い | 順子が必要 |
暗槓の心理戦
暗槓で相手を惑わす
心理的効果:
1. 威嚇効果
- 高得点を演出
- 相手を萎縮
2. 情報隠し
- 待ちが読めない
- 手牌構成不明
3. 時間稼ぎ
- 流れを変える
- リズムを崩す
暗槓への対処
| 相手の暗槓 | 対処法 | 理由 |
|---|---|---|
| 序盤暗槓 | 警戒強化 | 高得点の可能性 |
| ドラ暗槓 | 早めの和了 | 被害最小化 |
| リーチ後暗槓 | 現物重視 | 守備優先 |
特殊な暗槓状況
連続暗槓
複数回の暗槓:
1回目:通常通り実行
2回目:さらにドラ増加
3回目:三槓子確定
4回目:四槓子の可能性
※1人で4回は四槓子
※複数人で5回は流局
暗槓と国士無双
| 状況 | ルール | 備考 |
|---|---|---|
| 暗槓後の捨て牌 | 国士で取れる | 搶槓にならない |
| 13面待ち | 暗槓も和了可 | 特殊ルール |
まとめ
暗槓(アンカン)は手牌の同じ牌4枚だけで行うカンで、門前を維持できる唯一のカンです。ドラが増える、嶺上牌をツモれる、符が上がるなどのメリットがある一方、手牌が固定化され守備力が下がるデメリットもあります。
初心者の方は、まず「暗槓=門前維持」「4枚中2枚は裏向き」という基本を覚えましょう。暗槓は強力な技ですが、タイミングを誤ると逆効果になることもあります。特にリーチ後の暗槓は待ちが変わらない場合のみ可能という制限があるので注意が必要です。状況を見極めて適切に使いこなせるようになりましょう。