ベタ降り(ベタオリ)とは
ベタ降り(ベタオリ) とは、麻雀において和了を完全に諦めて、振り込まないことだけを目的とする守備戦術です。手牌を崩してでも安全牌を切り続け、局を流すことを目指します。
「ベタ」は「べったり」「完全に」という意味で、「オリ」は「降りる」の略です。攻撃を完全に放棄する、最も消極的な戦術です。
ベタ降りの詳細解説
ベタ降りの基本原則
-
和了を諦める
- テンパイも狙わない
- 手牌の形は無視
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安全牌優先
- 現物 → 字牌 → スジの順
- 危険牌は絶対に切らない
-
流局を目指す
- ノーテン罰符は覚悟
- 振り込みよりマシ
ベタ降りの手順
1. 現物を確認して切る
2. 現物がなければ字牌(特に客風牌)
3. それもなければスジや壁を使う
4. 最後は端牌(1・9)
5. 無スジの中張牌は最後まで切らない
使用例
実際の場面での使い方
例1:ベタ降りの宣言
「親リーに対してベタオリします」
「ダブリーだ、完全にベタ降り」
例2:ベタ降りの実行
「現物から切って、ベタオリ態勢」
「手バラバラだけど、ベタオリ一択」
例3:ベタ降りの継続
「テンパイしてもベタオリ継続」
「もう降りたから最後まで降りる」
ベタ降りすべき場面
絶対にベタ降りすべき状況
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 親のダブリー | 12000〜48000点の危険 |
| 役満テンパイ気配 | 32000〜48000点 |
| 自分が大量リード | 守り切れば勝ち |
| オーラス逃げ切り | 振り込み=死 |
ベタ降りを検討すべき状況
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複数リーチ
- 2人以上のリーチ
- 振り込み確率が高い
-
高打点の気配
- ドラが見えない
- 鳴いての高打点
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自分の手が悪い
- ノーテン or 愚形
- 安い手
関連用語
よくある間違い・注意点
初心者が間違えやすいポイント
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中途半端な降り
- 降りたり攻めたりは最悪
- 降りると決めたら徹底
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テンパイに惑わされる
- ベタ降り中のテンパイは無視
- 危険牌でリーチは論外
-
早すぎるベタ降り
- 状況判断が重要
- 必要以上に降りない
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現物の見落とし
- 全員の河を確認
- 同巡の現物も忘れずに
ベタ降りの技術
安全牌の優先順位
| 優先度 | 牌の種類 | 安全度 |
|---|---|---|
| 1位 | 現物 | 100% |
| 2位 | 字牌(4枚見え) | 100% |
| 3位 | 字牌(客風牌) | 高い |
| 4位 | スジ(両筋) | 中程度 |
| 5位 | 端牌(1・9) | やや安全 |
ベタ降りの心得
1. プライドを捨てる
→ 和了より失点回避
2. 手牌の美しさは無視
→ 123456でも崩す
3. ノーテン罰符は必要経費
→ 1000〜3000点は安い
ベタ降りの判断基準
点数状況による判断
| 自分の状況 | ベタ降り判断 |
|---|---|
| トップ目で大量リード | 積極的にベタ降り |
| 僅差の2位 | 状況次第 |
| 大きく負けている | 勝負も検討 |
| ラス目 | 一発逆転狙い |
手牌による判断
良い手牌(両面待ち・高打点)
→ 押し引きを検討
悪い手牌(ノーテン・愚形・安手)
→ ベタ降り推奨
ベタ降りと押し引き
ベタ降りと回し打ちの違い
| 戦術 | 和了可能性 | 安全度 |
|---|---|---|
| ベタ降り | 0% | 最高 |
| 回し打ち | 低い | 高い |
| 押し | 高い | 低い |
段階的な守備
- 様子見:安全牌から切るが形は維持
- 回し打ち:形を崩し始める
- ベタ降り:完全に諦める
ベタ降りの統計
ベタ降りの効果
- 放銃率:5%以下(正しく実行時)
- ノーテン罰符:平均1500点
- 期待値:マイナス1500点
※リーチに振り込むと平均8000点失点
ベタ降りのコツ
精神面
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割り切りが大切
- 和了への未練を断つ
- 長期的視点を持つ
-
恥ずかしがらない
- ベタ降りも立派な技術
- プロほどベタ降りが上手い
技術面
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河の管理
- 全員の捨て牌を記憶
- 現物を見逃さない
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残り枚数の把握
- 安全牌の枚数を数える
- 最後まで凌げるか計算
まとめ
ベタ降りは和了を完全に諦めて振り込みを避ける守備戦術です。初心者にとっては勇気のいる選択ですが、麻雀で勝つためには必須の技術です。「振り込まないことも実力」という言葉通り、適切な場面でベタ降りができることで、長期的には成績が大きく向上します。状況を正しく判断し、必要な時は迷わずベタ降りする勇気を持ちましょう。