海底摸月(ハイテイモーユエ)とは
海底摸月(ハイテイモーユエ) とは、麻雀の役の一つで、海底牌(山の最後の牌)でツモ和了することで成立する1翻役です。略して「ハイテイ」とも呼ばれ、「海の底から月をすくい取る」という美しい名前の由来を持つ役です。
偶然役の一つで、狙って作ることは難しいですが、テンパイしていれば海底牌をツモった時に1翻追加されるボーナス的な役です。ロンではなくツモのみで成立します。
海底摸月の詳細解説
成立条件
海底摸月が成立するには、以下の条件を満たす必要があります:
| 条件 | 詳細 | 注意点 |
|---|---|---|
| 海底牌でツモ | 山の最後の牌 | 王牌を除いた122枚目 |
| ツモ和了 | 自分でツモって和了 | ロンは不可 |
| テンパイ状態 | 海底牌が和了牌 | あと1枚の状態 |
海底牌とは
海底牌の位置:
山の構成(136枚):
- ツモ牌:122枚
- 王牌(ワンパイ):14枚(ドラ表示牌・嶺上牌含む)
海底牌 = 122枚目のツモ牌(王牌を除く最後の牌)
使用例
実際の場面での使い方
例1:和了時の宣言
「ツモ!海底摸月!」
「ハイテイでツモった!」
例2:役の確認
「海底だから1翻追加」
「ハイテイツモで2翻」
例3:テンパイ時の期待
「海底でツモれば1翻」
「ハイテイ狙いでテンパイキープ」
海底摸月の形
基本形
海底牌の1つ前:
手牌:123萬 456筒 789索 22東 5索(テンパイ)
海底牌:5索をツモ
→ 海底摸月成立
役:タンヤオ + ツモ + 海底摸月 = 3翻
リーチとの複合
リーチ後:
手牌:234萬 567筒 345索 999索 8筒(テンパイ)
海底牌:8筒をツモ
→ 海底摸月成立
役:リーチ + ツモ + 海底摸月 = 3翻(+裏ドラ)
関連用語
- 海底(ハイテイ):山の最後の牌
- 河底撈魚(ホウテイラオユイ):最後の捨て牌でロン和了
- 門前清自摸和(メンゼンツモ):よく複合する役
- 嶺上開花(リンシャンカイホウ):カン後のツモで和了
- 王牌(ワンパイ):使わない14枚
よくある間違い・注意点
初心者が間違えやすいポイント
-
ロンとの混同
- ロンでは成立しない
- ツモのみ有効
-
海底の位置
- 王牌を除いた最後
- 122枚目のツモ牌
-
他の役との複合
- 門前清自摸和と複合可
- リーチとも複合可
-
カンの制限
- 海底牌ではカン不可
- リーチも不可
海底摸月を狙う戦術
テンパイ時の判断
海底付近でのテンパイ:
| 状況 | 推奨行動 | 理由 |
|---|---|---|
| 良形待ち | テンパイ維持 | 1翻追加期待 |
| 悪形待ち | 変更検討 | 待ち改善優先 |
| 役なし | キープ | ツモ+ハイテイで2翻 |
| リーチ中 | そのまま | 1翻追加確定 |
海底を意識したプレイ
残り枚数の把握:
1. 常に山を確認
- 残り枚数を数える
- 海底までの巡目を計算
2. 海底付近の判断
- テンパイなら維持
- 1向聴なら急ぐ
3. 防御との兼ね合い
- 海底前にオリるか
- ギリギリまで攻めるか
実戦での海底摸月
海底摸月への道筋
典型的な流れ:
中盤:テンパイ
↓
終盤:海底が近づく
↓
海底1つ前:最後のチャンス
↓
海底:ツモ → 海底摸月成立
点数への影響
1翻追加の価値:
| 元の役 | 海底なし | 海底あり | 差分 |
|---|---|---|---|
| 役なし(ツモ) | 1翻 | 2翻 | +1300点 |
| リーチツモ | 2翻 | 3翻 | +1300点 |
| タンヤオツモ | 2翻 | 3翻 | +1300点 |
複合しやすい役
よく複合する役
| 役名 | 複合条件 | 合計翻数 |
|---|---|---|
| 門前清自摸和 | 門前でツモ | 2翻 |
| 立直 | リーチ後 | 2翻 |
| 断么九 | 中張牌のみ | 2翻 |
| 平和 | 門前・良形待ち | 2翻 |
| 一盃口 | 同じ順子2組 | 2翻 |
複合例
リーチ・ツモ・ハイテイ・ドラ1:
手牌:234萬 456筒 567索 345索 55筒
リーチ後、海底牌で5筒をツモ
→ 4翻(5200点 or 7700点)+裏ドラ
海底摸月の確率と価値
出現率
統計データ:
- 海底摸月の成立:約2〜3%
- テンパイでの成立確率は高い
- 偶然役の中では比較的多い
他の偶然役との比較
出現率順位:
- 門前清自摸和(約40%)
- 海底摸月(約2〜3%)
- 河底撈魚(約2〜3%)
- 嶺上開花(約0.3%)
- 槍槓(約0.01%)
海底摸月の戦略ポイント
テンパイ維持の重要性
海底付近の方針:
-
攻撃的戦術
- テンパイなら維持
- 1翻追加を狙う
- リスクを取る
-
防御的戦術
- ノーテンなら早めにオリ
- 罰符を避ける
- 安全第一
相手への影響
海底での心理戦:
- テンパイしていると思わせる
- 相手を牽制
- オリを誘う
ローカルルール
海底摸月の扱い
地域による違い:
- 一般的:1翻
- 一部地域:2翻(稀)
- 競技麻雀:必ず1翻
特殊な扱い
バリエーション:
- 役満祝儀の対象外
- 偶然役として扱う
- 流し満貫との関係
歴史と文化
海底摸月の由来
名称の意味:
- 海底:海の底(山の底)
- 摸月:月をすくい取る
- 中国の詩「海底撈月」から
美しい名前
麻雀文化での位置づけ:
-
詩的な表現
- 四大美名の一つ
- ロマンのある名前
-
記憶に残る
- 最後の劇的な展開
- 印象的な場面
海底での特殊ルール
海底牌の制限
できないこと:
-
カン
- 明カン不可
- 暗カン不可
- 加カン不可
-
リーチ
- 海底牌でリーチ不可
- 次のツモがないため
オンライン麻雀での表示
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 表示 | 残り枚数を表示 |
| 警告 | 海底前に通知 |
| 演出 | 特別な演出あり |
まとめ
海底摸月(ハイテイモーユエ)は、山の最後の牌(海底牌)でツモ和了することで成立する1翻役です。偶然役の一つで狙って作ることは難しいですが、テンパイしていれば海底牌をツモった時に1翻追加されるボーナス的な役です。初心者の方は、まず「海底でツモなら1翻追加」という基本を覚え、海底付近でテンパイしていたら、そのまま維持してツモを狙いましょう。リーチやツモと複合しやすく、最後の劇的な逆転を生む可能性を秘めた魅力的な役です。