風牌(カゼハイ)とは
風牌(カゼハイ) とは、麻雀の字牌のうち東(トン)・南(ナン)・西(シャー)・北(ペー)の4種類の牌を指します。「フォンパイ」とも呼ばれ、場の進行や座席位置と密接に関わる特別な牌です。
三元牌と異なり、役牌になるには条件があり、場風(その場の風)または自風(自分の風)と一致する必要があります。この条件を理解することが、風牌を使いこなす鍵となります。
風牌の詳細解説
風牌の種類と読み方
| 牌 | 正式読み | 通称読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| 東 | トン | ひがし | 東風、始まり、春 |
| 南 | ナン | みなみ | 南風、発展、夏 |
| 西 | シャー | にし | 西風、収穫、秋 |
| 北 | ペー | きた | 北風、終焉、冬 |
風牌が役牌になる条件
役牌になる2つの条件:
1. 場風(バカゼ)
- 東場なら東が役牌
- 南場なら南が役牌
2. 自風(ジカゼ)
- 東家なら東が役牌
- 南家なら南が役牌
- 西家なら西が役牌
- 北家なら北が役牌
※両方満たせば2翻(ダブ東・ダブ南)
風牌の分類
| 分類 | 説明 | 価値 |
|---|---|---|
| 連風牌 | 場風かつ自風 | 2翻 |
| 役風牌 | 場風または自風 | 1翻 |
| 客風牌(オタ風) | どちらでもない | 0翻 |
使用例
実際の場面での使い方
例1:基本的な使用
「東をポンで役確定」
「南場だから南が役牌」
「オタ風の西を切る」
例2:戦略的な会話
「ダブ東狙いでいく」
「親の連風牌は強い」
「風牌を集めて小四喜」
例3:場の進行
「東場から南場へ」
「オーラスは南4局」
「西入りはレアケース」
関連用語
- 字牌(ジハイ):風牌と三元牌の総称
- 場風(バカゼ):その場の風
- 自風(ジカゼ):自分の座席の風
- 客風牌(オタカゼ):役にならない風牌
- 連風牌(レンフォンパイ):場風かつ自風
- 小四喜(ショウスーシー):風牌の役満
- 大四喜(ダイスーシー):風牌のダブル役満
よくある間違い・注意点
初心者が間違えやすいポイント
-
役牌条件の勘違い
- 全ての風牌が役牌ではない
- 場風・自風の確認必須
- 客風は役にならない
-
読み方の間違い
- 西を「にし」(正:シャー)
- 北を「きた」(正:ペー)
- 中国読みが正式
-
ダブ風の見落とし
- 東場の東家は2翻
- 南場の南家も2翻
- 親番で特に重要
-
場の進行理解不足
- 東場→南場の流れ
- 4局で1場
- 親の移動と風の関係
風牌の戦略
序盤での風牌の扱い
配牌時の優先順位:
1. 客風牌(オタ風)
- 最も不要
- 真っ先に切る候補
2. 役風牌の孤立牌
- 対子にならなければ切る
- ただし慎重に
3. 役風牌の対子
- 積極的に残す
- 鳴いて役確定
風牌の価値判断
| 状況 | 東 | 南 | 西 | 北 |
|---|---|---|---|---|
| 東1局・東家 | ◎(2翻) | △ | △ | △ |
| 東1局・南家 | ○(1翻) | ○(1翻) | △ | △ |
| 南3局・西家 | △ | ○(1翻) | ○(1翻) | △ |
◎=最高価値 ○=役牌 △=客風
風牌が関わる役
風牌を使った役
| 役名 | 必要な風牌 | 翻数 |
|---|---|---|
| 役牌(単独) | 役風の刻子1組 | 1翻 |
| 役牌(ダブ風) | 連風の刻子1組 | 2翻 |
| 混老頭 | 風牌+他の么九牌 | 2翻 |
| 小四喜 | 3刻子+1対子 | 役満 |
| 大四喜 | 4刻子全て | ダブル役満 |
| 字一色 | 風牌+三元牌のみ | 役満 |
風牌と相性の良い役
組み合わせやすい役:
- 対々和(トイトイ)
- 三暗刻(サンアンコー)
- 混一色(ホンイツ)
- 役牌(他の字牌)
場風と自風の理解
場の進行と風
麻雀の1ゲームの流れ:
東1局 → 東2局 → 東3局 → 東4局
(東場:場風は東)
南1局 → 南2局 → 南3局 → 南4局
(南場:場風は南)
※半荘戦の場合
座席と自風の関係
| 座席(家) | 自風 | 親番 |
|---|---|---|
| 起家 | 東→南→西→北 | 最初の親 |
| 対面 | 西→北→東→南 | 3番目の親 |
| 上家 | 北→東→南→西 | 4番目の親 |
| 下家 | 南→西→北→東 | 2番目の親 |
風牌の鳴き判断
積極的に鳴く場合
鳴くべき状況:
1. 役風牌の対子
- 確実に1翻
- 特に連風は2翻
2. 手が遅い時
- 役の確保優先
- 守備的意味も
3. 場を動かしたい時
- 流れを変える
- 相手の手を崩す
鳴かない方が良い場合
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| リーチが見える | 門前で裏ドラ・一発 |
| 他に高い役 | 満貫以上狙い |
| オタ風 | 役にならない |
| 序盤で配牌良好 | 手の可能性を残す |
風牌の守備的価値
安全度の変化
風牌の危険度推移:
1-3巡目:比較的安全(特に客風)
4-8巡目:生牌は要注意
9-12巡目:役風は危険度上昇
13巡目〜:現物以外危険
風牌から読む相手の手
| 捨て牌パターン | 推測 |
|---|---|
| 序盤に役風切り | 役風を持っていない |
| 客風だけ切る | 風牌で手作り |
| 風牌を残す | 小四喜・字一色警戒 |
| 東と南だけ残す | 混一色+役牌 |
特殊な風牌の使い方
小四喜・大四喜を狙う
風牌系役満への道:
1. 配牌で風牌2対子以上
2. 序盤から風牌確保
3. 鳴いても役満
4. 大四喜は超レア
注意点:
- 読まれやすい
- 守備力低下
- 完成は困難
風牌のブラフ
| 戦術 | 効果 |
|---|---|
| 役風を遅く切る | 持っていないアピール |
| 客風を残す | 大物手を装う |
| 1つだけ鳴く | 役確保の演出 |
風牌の文化と歴史
風の意味と四季
風牌と季節の関係:
東(春):始まり、成長
南(夏):発展、繁栄
西(秋):収穫、成熟
北(冬):終結、休息
地域による特徴
| 要素 | 日本 | 中国 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 重要度 | 高い | 普通 | 日本は風を重視 |
| 西入 | まれ | なし | 延長戦の扱い |
| 連風 | 2翻 | 1翻の場合も | ルール差あり |
まとめ
風牌は東南西北の4種類の字牌で、場風または自風と一致すれば役牌になる条件付きの特別な牌です。三元牌と異なり、状況によって価値が変わるため、場の進行と自分の座席を常に意識する必要があります。
初心者の方は、まず「東場なら東」「南場なら南」という場風と、自分の座席の風(親なら東)を覚えることから始めましょう。客風牌は早めに切り、役風牌は大切にする。この基本を守れば、風牌を使った安定した麻雀が打てるようになります。