門前清(メンゼンチン)とは
門前清(メンゼンチン) とは、麻雀において他家の捨て牌を一切鳴かずに手牌を進める状態のことです。略して「門前(メンゼン)」とも呼ばれ、チー・ポン・明カンをしていない純粋な状態を指します。
門前を維持することで、リーチや門前清自摸和などの門前限定役が使えるほか、ピンフなど一部の役も門前でないと成立しません。麻雀の基本戦略において、門前で進めるか鳴いて進めるかの判断は非常に重要です。
門前清の詳細解説
門前と副露の違い
門前清の状態:
✓ チーしていない
✓ ポンしていない
✓ 明カンしていない
✓ 暗カンはOK(門前維持)
副露(フーロ)の状態:
✗ チー・ポン・明カンのいずれかをした
✗ 手牌の一部が公開されている
門前のメリット・デメリット
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 使える役 | 門前限定役が豊富 | 鳴ける役に制限 |
| 得点 | 高得点になりやすい | - |
| スピード | - | 和了が遅い |
| 守備力 | 手牌が読まれない | - |
| 柔軟性 | 手を変えやすい | 欲しい牌を逃す |
門前清に関する役
門前限定の役:
1. 立直(リーチ)- 1翻
2. 一発(イッパツ)- 1翻
3. 門前清自摸和(ツモ)- 1翻
4. 平和(ピンフ)- 1翻
5. 一盃口(イーペーコー)- 1翻
6. 二盃口(リャンペーコー)- 3翻
※四暗刻、国士無双なども門前限定
使用例
実際の場面での使い方
例1:基本的な使用
「門前で行く」
「門前を崩す」
「門前キープ」
例2:戦略的な会話
「門前で高得点狙い」
「ここは門前にこだわらない」
「門前派なんです」
例3:状況説明
「全員門前」
「門前清一色」
「門前で満貫」
関連用語
よくある間違い・注意点
初心者が間違えやすいポイント
-
暗カンの扱い
- 暗カンは門前維持
- 手牌だけで完成
- リーチも可能
-
食い下がりの理解
- 鳴くと翻数が下がる役
- 門前なら満額
- 判断が重要
-
門前の過信
- 常に門前が正解ではない
- 状況次第で鳴くべき
- スピードも大切
-
役の制限
- 門前でないと成立しない役多数
- 特にピンフは要注意
- 事前に確認必要
門前を維持すべき状況
門前推奨のケース
門前で進めるべき時:
1. 良形テンパイが近い
- リーチで裏ドラ期待
- 一発もあり
2. 高得点の手
- すでに3翻以上
- 役満の可能性
3. ドラが多い
- リーチで満貫以上
- 鳴く必要なし
4. 序盤
- まだ余裕がある
- 様子を見る
具体的な判断基準
| 手牌の状況 | 門前推奨度 | 理由 |
|---|---|---|
| 2向聴良形】 | 高 | リーチ見込み |
| ドラ3枚 | 高 | 高得点確定 |
| 役なし愚形 | 低 | 鳴いて役作り |
| 終盤ノーテン | 低 | スピード優先 |
門前を崩すべき状況
鳴きを検討すべきケース
門前を崩してでも:
1. 確実な役がある
- 役牌の対子
- タンヤオ確定
2. 大幅にスピードアップ
- 一手でテンパイ
- 他家を止める
3. 点数状況
- 早あがり必要
- 安くても価値あり
4. 守備的理由
- 一発消し
- 形式テンパイ
鳴きの判断例
| 状況 | 行動 | 理由 |
|---|---|---|
| 役牌対子+ドラなし | 鳴く | 確実な1翻 |
| タンヤオ確定の両面 | 鳴く | スピード重視 |
| ドラ3で1向聴 | 門前 | リーチで跳満 |
| オーラス4位 | 状況次第 | 点差で判断 |
門前と役の関係
門前限定役の詳細
主要な門前限定役:
リーチ(1翻)
- テンパイ宣言
- 1000点供託
- 裏ドラ権利
ピンフ(1翻)
- 順子のみ
- 両面待ち
- 役牌以外の雀頭
一盃口(1翻)
- 同じ順子2組
- 223344など
鳴いても成立する役
| 役名 | 門前 | 鳴き | 備考 |
|---|---|---|---|
| タンヤオ | 1翻 | 1翻 | ルールによる |
| 役牌 | 1翻 | 1翻 | 変わらない |
| 対々和 | 2翻 | 2翻 | 変わらない |
| 三色同順 | 2翻 | 1翻 | 食い下がり |
| 一気通貫 | 2翻 | 1翻 | 食い下がり |
門前の統計と確率
門前での和了率
一般的な統計:
門前での和了率:約20%
鳴いての和了率:約30%
しかし平均得点は:
門前:約7,000点
副露:約4,000点
リーチとの相関
| プレイスタイル | 特徴 | 平均得点 |
|---|---|---|
| 門前派 | リーチ多用 | 高い |
| 鳴き派 | スピード重視 | 低い |
| バランス型 | 状況判断 | 中程度 |
門前清の戦略
序盤の方針
序盤の門前戦略:
1. 基本は門前で様子見
2. 役の見込みを確認
3. 向聴数を把握
4. 他家の動きを観察
例外的に鳴く場合:
- 役牌のポン
- 大明槓のチャンス
- 圧倒的な手の時
中盤以降の判断
| 巡目 | 門前の価値 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 1-6巡 | 高い | 基本門前 |
| 7-12巡 | 普通 | 手次第 |
| 13巡以降 | 低い | スピード優先 |
門前と守備
門前の守備的価値
門前が守備に有利な理由:
1. 手牌が読まれない
- 待ちが分からない
- 役も不明
2. 切る牌を選べる
- 安全牌を残せる
- 危険牌から切れる
3. オリやすい
- 手を崩しやすい
- ベタオリ可能
副露のリスク
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 手がバレる | 役・待ちが読まれる | 早あがり |
| 固定化 | 変更できない | 確実な手で |
| 守備力低下 | オリにくい | 攻め切る |
プロの門前観
トッププロの傾向
プロの門前率:
平均:約70%
リーチ率:約20%
特徴:
- 門前を基本とする
- 鳴きは計算づく
- 点数効率を重視
まとめ
門前清(メンゼンチン)は他家の牌を鳴かずに手を進める状態で、多くの役の条件となる重要な概念です。リーチや門前清自摸和など門前限定の役が使えるメリットがある一方、和了までが遅くなるデメリットもあります。
初心者の方は、まず「門前=鳴いていない」という基本を覚え、序盤は門前で進めることを心がけましょう。ただし、状況によっては門前を崩して鳴くことも重要です。門前にこだわりすぎず、柔軟な判断ができるようになることが上達への道です。