ノーチャンス(4枚見え)とは?カベを使った守備の基本戦術

| 約7分 | ツモロン編集部

はじめに

オリたいけど安全牌がないとき、前回の「スジ」と同じく、道しるべになるのが「ノーチャンス」です。

ノーチャンスを理解することで、相手のリーチに対してより安全な牌を見つけられるようになります。

ノーチャンスとは

ノーチャンスとは、ある牌が4枚とも自分から見えていることをいいます。

それによって、ある牌がリャンメン待ちで当たらなくなるのです。

「見えている」の定義

「見えている」というのは、具体的には以下のいずれかです:

  • 自分の手牌の中にある
  • 河に切られている
  • 誰かが鳴くかアンカンして、さらされている
  • ドラ表示牌で見えている

文字どおり、自分の目から見える状態ですね。

ノーチャンスの原理

具体例で理解する

例えば、:7m:を自分が1枚持っていて、河に2枚切られており、下家が7m-r,8m,9mでチーしていると、:7m:は4枚見えています。

4枚とも所在が明らかになっているので、他家の手の中には、もう:7m:はありません。

ということは、他家がリーチをかけた時、:6m::7m::7m::8m:のリャンメンターツで待っている可能性はゼロです。

つまり、:8m::9m:はリャンメンで当たることはなく、安全度が上がります

カベという表現

このことを、「:7m:のカベがある」と表現することもあります。

カベでシュンツ作りを遮断しているイメージの言葉ですね。

壁(カベ)は、ノーチャンス(4枚見え)とワンチャンス(3枚見え)を総称した呼び方としても使われます。壁の外側にある牌は、字牌と同じように扱われ、安全牌を探すために利用できます。

ノーチャンスの効果

リャンメン待ちを否定

:7m:のカベがあると、:8m::9m:で放銃するパターンは、シャンポン待ちかタンキ待ちだけになります。

もし、既に:8m::9m:が3枚見えていたら、その可能性も消せるので、ほぼ絶対的な安全牌になるといえます(唯一、:9m:で待つ国士無双には当たりますが)。

字牌化の概念

ノーチャンスによって、順子として使えなくなった牌は、字牌と同じような性質を持つようになります。

例えば、:3p:が4枚見えている(ノーチャンス)状況では、:1p::2p:は以下の使い道しかありません:

  • 刻子として使う:1p::1p::1p::2p::2p::2p:
  • 雀頭として使う:1p::1p::2p::2p:

順子(:1p::2p::3p::2p::3p::4p:)を作ることができないため、東や白などの字牌と同じく、刻子か雀頭でしか役に立たない状態になります。

このように使い道が限定された牌は、相手が持っている可能性が低く、安全牌として扱えるのです。

ノーチャンスの全パターン

以下は、ノーチャンスの全パターンです:

4枚見えの牌リャンメンで当たらない牌備考
:2m:が4枚:1m::2m:の壁により:1m:の安全度上昇
:3m:が4枚:1m::2m::3m:の壁により両側が安全に
:4m:が4枚:2m::3m:中央に近づくほど効果大
:5m:が4枚:3m::7m:中央の壁は広範囲に影響
:6m:が4枚:7m::8m:中央に近づくほど効果大
:7m:が4枚:8m::9m::7m:の壁により両側が安全に
:8m:が4枚:9m::8m:の壁により:9m:の安全度上昇

複数のカベを組み合わせる

より広い範囲を安全に

この「カベ」が複数あるときは、あわせて考えると、さらに安全度が増す場合があります。

例えば:4m::7m:が両方とも4枚見えているとしましょう。

:2m::3m::8m::9m:がリャンメン待ちに当たりませんが、さらに、:5m::6m:もリャンメン待ちに当たらなくなります

理屈の説明

:5m:がリャンメン待ちに当たるのは、相手が:3m::4m::6m::7m:の形で待っている時ですが、:4m::7m:がすべて見えているので、その可能性はゼロです。

:6m:も同じ理屈で、リャンメン待ちに当たる可能性が否定されます。

スジとノーチャンスの組み合わせ

応用編:複合読み

「スジ」と「ノーチャンス」を組みあわせることで、比較的安全な牌が浮き上がることがあります。

具体例

いま、リーチ者の河に:2p:が切られているとします。:2p:のスジの牌は:5p:ですが、この情報だけでは、:5p:は安全とはいえないですね。:5p::8p:のリャンメン待ちの可能性は残っているためです。

しかし、同時に、:6p::7p:が4枚見えていたらどうでしょうか。カベがあるので、:5p::8p:のリャンメン待ちの可能性は消えます。

複合読みの効果

  • A 河に:2p:が切られている → :2p::5p:のリャンメン待ちでは当たらない
  • B :6p::7p:が4枚見えている → :5p::8p:のリャンメン待ちでは当たらない

2つの情報をあわせて考えると、「:5p:がリャンメン待ちに当たることはない」といえます。

ノーチャンスの価値

確実な情報として活用

麻雀は「自分から見えない情報」が多いゲームですが、「ある種類の牌が4枚とも見えて、もう他家の手にも山にもない」ことは、確実な情報として、攻守ともに頼りにできます。

霧の海のなかで、明るく輝く灯台の光のような存在です。

注意点

ノーチャンスが効かない待ち

ノーチャンスはリャンメン待ちを否定する技術ですが、以下の待ちには効果がありません:

  • カンチャン待ち:部分的には効果あり
  • ペンチャン待ち:効果あり
  • タンキ待ち:効果なし
  • シャンポン待ち:効果なし

中級者以上の裏の裏

中級者以上だと、スジやノーチャンスを利用して、他家からのアガリを狙うケースもあります。

例えば、:3m:が4枚見えてカベになっている状態で、:1m::2m:待ちのチートイツでリーチをかける、などです。

スジやノーチャンスは、多くの人が頼りにするメジャーな情報なので、逆手にとる攻撃も当然あるのですね。

振り込んでしまった時の心構え

学習の機会と捉える

振り込んでしまった時は「安全な牌のはずなのに…。ぐぬぬ」と悔しがるのではなく、貴重な学習例があらわれたと考えて、「このケースでは、ノーチャンスでも当たるのだな」と学んで、次に生かしていきましょう。

麻雀に限らず、イライラしてその後うまくいくことはありませんので…。

関連用語

まとめ

ノーチャンスは、ある牌が4枚見えていることで、その牌を使ったリャンメン待ちを否定し、周辺牌の安全度を上げる守備技術です。

スジと組み合わせることで、より精度の高い守備が可能になります。

オリるときの道しるべとして、ノーチャンスを確実に数えられるようになりましょう。

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