はじめに
オリたいけど安全牌がないとき、前回の「スジ」と同じく、道しるべになるのが「ノーチャンス」です。
ノーチャンスを理解することで、相手のリーチに対してより安全な牌を見つけられるようになります。
ノーチャンスとは
ノーチャンスとは、ある牌が4枚とも自分から見えていることをいいます。
それによって、ある牌がリャンメン待ちで当たらなくなるのです。
「見えている」の定義
「見えている」というのは、具体的には以下のいずれかです:
- 自分の手牌の中にある
- 河に切られている
- 誰かが鳴くかアンカンして、さらされている
- ドラ表示牌で見えている
文字どおり、自分の目から見える状態ですね。
ノーチャンスの原理
具体例で理解する
例えば、
を自分が1枚持っていて、河に2枚切られており、下家が
でチーしていると、
は4枚見えています。
4枚とも所在が明らかになっているので、他家の手の中には、もう
はありません。
ということは、他家がリーチをかけた時、
や
のリャンメンターツで待っている可能性はゼロです。
つまり、
と
はリャンメンで当たることはなく、安全度が上がります。
カベという表現
このことを、「
のカベがある」と表現することもあります。
カベでシュンツ作りを遮断しているイメージの言葉ですね。
壁(カベ)は、ノーチャンス(4枚見え)とワンチャンス(3枚見え)を総称した呼び方としても使われます。壁の外側にある牌は、字牌と同じように扱われ、安全牌を探すために利用できます。
ノーチャンスの効果
リャンメン待ちを否定
のカベがあると、
か
で放銃するパターンは、シャンポン待ちかタンキ待ちだけになります。
もし、既に
か
が3枚見えていたら、その可能性も消せるので、ほぼ絶対的な安全牌になるといえます(唯一、
で待つ国士無双には当たりますが)。
字牌化の概念
ノーチャンスによって、順子として使えなくなった牌は、字牌と同じような性質を持つようになります。
例えば、
が4枚見えている(ノーチャンス)状況では、
と
は以下の使い道しかありません:
- 刻子として使う:


や


- 雀頭として使う:

や

順子(

や

)を作ることができないため、東や白などの字牌と同じく、刻子か雀頭でしか役に立たない状態になります。
このように使い道が限定された牌は、相手が持っている可能性が低く、安全牌として扱えるのです。
ノーチャンスの全パターン
以下は、ノーチャンスの全パターンです:
| 4枚見えの牌 | リャンメンで当たらない牌 | 備考 |
|---|---|---|
が4枚 | ![]() | の壁により の安全度上昇 |
が4枚 | ![]() ![]() | の壁により両側が安全に |
が4枚 | ![]() ![]() | 中央に近づくほど効果大 |
が4枚 | ![]() ![]() | 中央の壁は広範囲に影響 |
が4枚 | ![]() ![]() | 中央に近づくほど効果大 |
が4枚 | ![]() ![]() | の壁により両側が安全に |
が4枚 | ![]() | の壁により の安全度上昇 |
複数のカベを組み合わせる
より広い範囲を安全に
この「カベ」が複数あるときは、あわせて考えると、さらに安全度が増す場合があります。
例えば
と
が両方とも4枚見えているとしましょう。



がリャンメン待ちに当たりませんが、さらに、
もリャンメン待ちに当たらなくなります。
理屈の説明
がリャンメン待ちに当たるのは、相手が
か
の形で待っている時ですが、
と
がすべて見えているので、その可能性はゼロです。
も同じ理屈で、リャンメン待ちに当たる可能性が否定されます。
スジとノーチャンスの組み合わせ
応用編:複合読み
「スジ」と「ノーチャンス」を組みあわせることで、比較的安全な牌が浮き上がることがあります。
具体例
いま、リーチ者の河に
が切られているとします。
のスジの牌は
ですが、この情報だけでは、
は安全とはいえないですね。
のリャンメン待ちの可能性は残っているためです。
しかし、同時に、
か
が4枚見えていたらどうでしょうか。カベがあるので、
のリャンメン待ちの可能性は消えます。
複合読みの効果:
- A 河に
が切られている → 
のリャンメン待ちでは当たらない - B
か
が4枚見えている → 
のリャンメン待ちでは当たらない
2つの情報をあわせて考えると、「
がリャンメン待ちに当たることはない」といえます。
ノーチャンスの価値
確実な情報として活用
麻雀は「自分から見えない情報」が多いゲームですが、「ある種類の牌が4枚とも見えて、もう他家の手にも山にもない」ことは、確実な情報として、攻守ともに頼りにできます。
霧の海のなかで、明るく輝く灯台の光のような存在です。
注意点
ノーチャンスが効かない待ち
ノーチャンスはリャンメン待ちを否定する技術ですが、以下の待ちには効果がありません:
- カンチャン待ち:部分的には効果あり
- ペンチャン待ち:効果あり
- タンキ待ち:効果なし
- シャンポン待ち:効果なし
中級者以上の裏の裏
中級者以上だと、スジやノーチャンスを利用して、他家からのアガリを狙うケースもあります。
例えば、
が4枚見えてカベになっている状態で、
や
待ちのチートイツでリーチをかける、などです。
スジやノーチャンスは、多くの人が頼りにするメジャーな情報なので、逆手にとる攻撃も当然あるのですね。
振り込んでしまった時の心構え
学習の機会と捉える
振り込んでしまった時は「安全な牌のはずなのに…。ぐぬぬ」と悔しがるのではなく、貴重な学習例があらわれたと考えて、「このケースでは、ノーチャンスでも当たるのだな」と学んで、次に生かしていきましょう。
麻雀に限らず、イライラしてその後うまくいくことはありませんので…。
関連用語
まとめ
ノーチャンスは、ある牌が4枚見えていることで、その牌を使ったリャンメン待ちを否定し、周辺牌の安全度を上げる守備技術です。
スジと組み合わせることで、より精度の高い守備が可能になります。
オリるときの道しるべとして、ノーチャンスを確実に数えられるようになりましょう。