スジ(筋)とは?守備の基本となる安全牌の見つけ方

| 約9分 | ツモロン編集部

はじめに

オリたいけど安全牌がないとき、道しるべになるのが「スジ(筋)」です。

スジは、主に守備の面で使う麻雀の考え方の一つであり、相手からリーチがかかった際などに、比較的安全な牌を見つけるために利用されます。

スジの概念は非常に重要であり、これを活用することで、現物(相手が捨てた牌)ではない牌でも切りやすい牌を増やすことができます。

スジとは

スジ(筋)とは、相手の捨て牌から両面待ち(リャンメン待ち)に当たらない牌を見つけるための守備理論です。

両面待ちの否定

スジの考え方は、両面待ちに当たらない牌を見つけることにあります。

麻雀牌の数字牌(マンズ、ピンズ、ソウズ)は、連続する3枚組の順子を作ることで、様々な待ち方(両面、カンチャン、ペンチャンなど)を作り出します。

両面待ちは、例えば:2m::3m:を持っている時の:1m::4m:待ち(イースー待ち)のように、2つの牌で待つ形を指します。

フリテンを利用した仕組み

スジの仕組みは、「フリテン」のルールを利用しています。

フリテンの基本

  1. 相手が特定の牌(例::4m:)を捨て牌にしている場合、その人は:4m:ではロン上がりできません(フリテンになるため)
  2. このフリテンのルールは、:4m:と両面待ちになるもう片方の牌にも適用されます
  3. :4m:が捨てられていると、「:1m::4m:待ち」の:1m:と、「:4m::7m:待ち」の:7m:でもロン上がりできません

スジの理屈

したがって、自分の手牌にある**:1m::7m:**は、:4m:を捨てた人に対しては両面待ちに当たらないため、比較的安全に切ることができるという理屈になります。

これがスジの考え方です。

スジの3パターン

数字牌を使いやすい3つのグループに分類し、これらの関連性(スジ)を利用します。

麻雀における両面待ちの構成パターンに基づき、スジは以下の3つの組に分けられます。

筋のパターン読み方構成例(萬子)
1・4・7イースーチー:1m::4m::7m:
2・5・8リャンウーパ:2m::5m::8m:
3・6・9サブローキュー:3m::6m::9m:

この3つのパターンを覚えることで、どの牌が捨てられたら、どの牌が安全になるかを瞬時に判断できるようになります。

安全牌の判断基準

真ん中の牌(4, 5, 6)が捨てられたときと、両端の牌(1, 2, 3, 7, 8, 9)が捨てられたときで、安全になる牌が異なります。

真ん中の牌(4, 5, 6)が捨てられた場合

真ん中の牌(例::4m:)が捨てられると、そのスジの両端の牌(例::1m::7m:)は両面待ちに当たらない牌となります。

具体例

  • :4m:が捨てられた → :1m::7m:が安全
  • :5m:が捨てられた → :2m::8m:が安全
  • :6m:が捨てられた → :3m::9m:が安全

両端の牌(1, 2, 3, 7, 8, 9)が捨てられた場合

例えば:1m:が捨てられていた場合、スジだからといって:4m:が安全になるわけではありません。

そのスジの両端(例::1m::7m:)が両方とも捨てられていた場合に限り、真ん中の牌(例::4m:)は、両面待ちに当たらない安全牌になります。

具体例

  • :1m:だけが捨てられた → :4m:は安全ではない
  • :1m::7m:が両方捨てられた → :4m:が安全

スジの具体例

例1:真ん中の牌が捨てられたケース

リーチ者の河に:5p:が捨てられています。

この場合、:5p:のスジである**:2p::8p:**は、両面待ちに当たらないため、比較的安全に切ることができます。

理屈

  • :2p::5p:待ち → :5p:がフリテンなので:2p:でロンできない
  • :5p::8p:待ち → :5p:がフリテンなので:8p:でロンできない

例2:両端の牌が両方捨てられたケース

リーチ者の河に:1s::7s:が両方捨てられています。

この場合、:4s:は両面待ちに当たらないため、比較的安全に切ることができます。

理屈

  • :1s::4s:待ち → :1s:がフリテンなので:4s:でロンできない
  • :4s::7s:待ち → :7s:がフリテンなので:4s:でロンできない

例3:片方だけが捨てられたケース

リーチ者の河に:1m:だけが捨てられています(:7m:は捨てられていない)。

この場合、:4m::4m::7m:の両面待ちで当たる可能性があるため、安全とは言えません。

スジの注意点と限界

スジは守備力を上げるために役立ち、放銃率(振り込み率)を下げることができますが、以下の点に注意が必要です。

1. 両面待ちの否定のみ

スジの考え方は、あくまで両面待ちにだけ当たらない牌を見つけるためのものです。

2. 他の待ちには当たる可能性

スジ牌を切っても、相手が以下の待ちで待っていた場合はロン上がりされてしまいます:

  • カンチャン待ち:2p::4p::3p:待ちなど
  • ペンチャン待ち:8m::9m::7m:待ちなど
  • シャンポン待ち:5s::5s::8s::8s::5s::8s:待ち
  • タンキ待ち:単騎での待ち

スジ引っ掛けの例

:6s:が捨ててあるから安全だと思って:3s:を切ったら、相手が:2s::4s:のカンチャン待ちで:3s:待ちだった、というケースです。

3. 完全な安全牌ではない

スジはあくまで「比較的安全」な牌を見つける方法であり、現物のような100%安全な牌ではありません。

壁との複合利用

より安全度を高める

安全牌を探す際、スジに加えて**壁(ワンチャンスやノーチャンス)**の考え方を同時に使うと、より安全性を高めることができます。

複合読みの例

  • 河に:2p:が切られている(スジ)
  • かつ:6p:が4枚見えている(ノーチャンス)
  • :5p::2p::5p:の両面待ちにも、:5p::8p:の両面待ちにも当たらない

詳しくは「ノーチャンス」の記事をご覧ください。

例え話:高速道路の出口案内

スジの概念は、高速道路の出口案内のようなものです。

特定のインターチェンジ(例::4m:)が閉鎖されている(捨てられている)ことが分かっていれば、そのインターチェンジを最終目的地とする人たち(例::1m::7m:を待つ両面待ち)は、もうそこに向かっていないことが分かります。

そのため、その出口付近(:1m::7m:)は比較的安全に通行できる、と考えることができます。

ただし、その道(:1m::7m:)を目的地としない人(カンチャン待ちやシャンポン待ちの人)は、まだ別ルートで待機している可能性があるため、完全な安全は保証されないのです。

スジの実践的な使い方

段階的な判断

守備の際の安全度は、以下のように考えます:

安全度状態判断
最高現物切る
スジ+ノーチャンス切る
中高スジ単体状況次第
ワンチャンス慎重に判断
無筋の中張牌基本オリる
最低無筋のドラや1・9牌の近くの牌絶対オリる

スジを優先的に使う場面

以下のような状況でスジが特に有効です:

  • 相手のリーチに対して現物がない
  • 自分の手が遠く、オリを選択する
  • 終盤で山が少なく、慎重な判断が必要
  • 点数状況的に振り込みたくない

スジを覚える順番

初心者の方は、以下の順番でスジを覚えていくと良いでしょう:

  1. まずは真ん中の牌(4, 5, 6)から

    • :4m:が切られたら:1m::7m:が安全
    • :5m:が切られたら:2m::8m:が安全
    • :6m:が切られたら:3m::9m:が安全
  2. 3つのパターンを覚える

    • 1・4・7(イースーチー)
    • 2・5・8(リャンウーパ)
    • 3・6・9(サブローキュー)
  3. 両端のパターンは後回し

    • 両端が両方捨てられて初めて真ん中が安全

関連用語

まとめ

スジは、相手の捨て牌とフリテンのルールを利用して、両面待ちに当たらない比較的安全な牌を見つける守備技術です。

スジを理解し活用することで、リーチを受けて現物がない場合でも、慌てずに対応し、安全そうな牌を見つけられるようになります。

ただし、スジは両面待ちの否定のみであり、カンチャンやペンチャンなどの待ちには当たる可能性があることを忘れずに、状況に応じた適切な判断を心がけましょう。

ノーチャンス・ワンチャンスと組み合わせることで、より精度の高い守備が可能になります。

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